ノンリコースローンとは?

ノンリコースローン(非遡及型融資)とは、「責任財産」の収益力(キャッシュフロー)から算定される金額を基に融資を行い、その範囲内に返済責任を限定する貸付方法です。責任財産とは、収益力のある不動産が一般的ですが、継続的に収益を生み出す企業や動産、債権の場合もあります。

責任財産のそうした収益力を裏付けに貸出を行い、返済が不能になった場合は、その責任財産の処分を超える返済を求めない手法です。こうしたノンリコースローン対して通常のローンは、リコースローンと呼ばれます。

リコースローンの場合、借主が返済できなくなった際は、借入残高の全てに返済責任を負います。担保物件がある場合は、それを(競売などで)処分して返済原資に充てます。それでも借入残高が残っている時は、その分について債務者が引き続き返済義務を負います。

しかしノンリコースローンでは、責任財産を処分した後の借入残高について、返済を請求されることはありません。貸主は責任財産の他に借主自身に遡って(さかのぼって)、請求できないのです(=遡及されない)。
この特徴から、ノンリコースローンは「非遡及型融資」とも呼ばれます。

ノンリコースローンの審査では、責任財産の収益性は厳しく精査されますが、債務者自身の返済能力はそれほど重要視されません。そのため例えば年収が低めな若手投資家などでも、(銀行から評価されやすい)責任財産さえ設定できれば、ノンリコースローンで融資を受けることは可能です。

責任範囲が限定されるノンリコースローンは、金融機関にとってリスクの高い融資です。元本が回収できる可能性が下がるため、その分リスクに見合う高めの金利が設定されます。
銀行によって基準は違うものの、通常融資に比べて数倍の金利が設定されてる場合がほとんどです。ただし借主から見ると利息負担が重いということは、金融機関から見た収益性が高いということです。
昨今のような「異次元金融緩和」の影響で相応の金利収入が期待できない銀行にとって、ノンリコースローンは貴重な収益源の一つとなっています

またノンリコースローンの審査は通常の与信審査に較べて難しい(し時間がかかる)ため、融資最低金額は10億円程度と高めになっています。
さらに返済期間が10年を超えるような、長期の契約はほとんどありません。あまりに長期間の貸付では、その間に責任財産(収益物件)の収益環境がブレる可能性も高まるためです。

借り手企業のメリットが大きいノンリコースローンですが、取り扱っている金融機関は極めて少ないのが実情です。メガバンクや政府系金融機関、一部の外資系銀行などに限られます。
理由は先ほども説明した通り、ノンリコースローンの設定には高い審査能力が求められるため、そうした基準を満たす金融機関が少ないためです。地方銀行や信用金庫では、ほとんど取り扱っていないと考えて下さい。